I love you more
確かに…
お父さんの名前は、秋山亨「なに?…この子達、何言ってるの?」

そう思った瞬間、今朝の母の姿が脳裏をかすめた…

彼らを見つめたまま…。
私は、動けなくなった。

瞬きをするのさえ、忘れていた私の目の前に、人影が
由美「あんた達何?そんなの、嘘に決まってるじゃん!」
由美「勝手な噂で、さっちゃん傷つけるような事言ったら、あたしが許さないからね!!」

男の子「だって、母ちゃんが言ってたもん!本当だからな、朝のニュース見て!」
由美「うるさい!うるさーい!それ以上言ったら、殴るよっ!」

由美ちゃんは、そう言いながら、拳を振り上げて、彼らを追い掛け回した。

私は、ただ呆然とその情景を見ていた。

暫くすると、息を切らして、由美ちゃんは、戻ってきた。

由美「あ~あ、バカ共相手にしてたら、時間なくなっちゃったね、急いで書こう!」

そう言うと、にっこりと、いつもの張り裂けんばかりの笑顔で、私の隣に腰掛けた。

それからも、由美ちゃんは、私にお父さんの事に関して、何も聞かないし、言わなかった。

私は、当然、絵に集中するなんて出来なかった。

お父さんが捕まった…?
朝、お母さん泣いてた…?
お父さんとは、もう何年も会っていない。
お父さんが出て行ってから、お母さんが泣いていたあの日から、私とお母さんの間で、お父さんの話しをしないって、なんとなくの暗黙の了解になっていた。

由美ちゃんは、何もなかったかの様に、いつもと変わらず、たわいもない話しをしながら絵を書いていた。
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