イニシャルはKK


  「お兄ちゃん!」


あの日から
歌音は俺をそう呼ぶようになった。

もちろん二人きりの時だけだが。

「私が泣いたら、いつもキャンディをくれたね。
そして泣き止むまで背中をさすってくれるの」

歌音は忘れていた記憶を取り戻したかのように、昔の話をし始めた。


正直、俺は困惑している。


俺は歌音との『今』を生きている。

過去に囚われたくはない。
< 103 / 217 >

この作品をシェア

pagetop