イニシャルはKK
涙ながらに話す響吾を見て、私は何も言えなかった。
こんな事があるなんて…。

「N大に進学したのは、奏が昔 住んでた場所に一番近い大学だったから。
いつか話に聞いたカノンちゃんに会って奏の話をしたかったんだ。
でも初めての一人暮らしって、想像以上に大変で。
会いに行けないまま、数合わせで呼ばれた合コンでお前に会った。
信じられなかったよ、最初は。
でも、ずっと奏を待ってたお前を見て…俺…
何度も言おうと思ったんだけど…
俺をお兄ちゃんだと信じて嬉しそうにしてるお前を見てたら
結局 言えなかった」

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