アタシと核兵器
しばらくすると、席を奪われた男の子達は消えていった。周囲も次第とすいてきた。みんな帰宅するような時間だった。

援助交際ばかりやってるって言い出したのは春子だった。学年でも誰かがやってると聞いたことはあるが、実際に目の前にするのは初めてだった。

「どのくらい稼いでるの?何に使うの?」

我ながら、下世話な質問だなあと思ったが、興味があった。

「よくぞ、聞いてくれたわね。今、月に500万よ。30日全部を費やしてるから、1日に10万から20万ね。今日はこんな感じ。」

どさっ

1万円札が17枚、机にまかれた。17枚でも、なかなか厚みがあって迫力があった。

「基本的に、服を買ったり、自分に投資するけど、貯めてるの。」

「小6から援交を始めたから、今じゃあ結構な、額よ。あんたもやればいいのに」

そんなこと言われるとあせってしまったアタシは、

「まあアタシがやるかやらないは置いといて、何のために貯金してるの?」

マックの2階はがら空きだった。さっきまでいたと思っていた人はもう誰もいない。春子の目に見ない威圧感だろうか。

アタシまで大人の女に見られたら少しうれしいなぁと思っていた気分は、一瞬にして、氷付くことになった。

春子が予期せぬことを、口走ったからだった。

「核兵器・・・核兵器が欲しいの」
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