チョコレート・ウォーズ!!!





そんな俺の気持ちに気付くはずの無い津田は、



「そういえば月曜はバレンタインだねー。


藤野は誰かにあげるのかい?」




と、簡単に聞いてのけていた。アホっぽい聞き方だったけど。



彼女はちょっと俯き、間を開けて でも後ろの俺たちにも聞こえる位の声で


「…家族とか…かな…」



もう、そんな事 いいじゃない



って言っていた。




え…その、“とか”ってのが凄く、至極、気になるのですけれども。



「HAHAHA…★

勿論MEにもくれるんDARO?」


黙れ、エセ外人。



「え?津田君も欲しいの?」




絵に描いたように肩を落とす津田。


今度はヤツが落ち込む番だったか。ザマーミロ!!



「じ…じゃあ、みんなにもあげるね…?」



照れたような、困ったような。


でも、迷惑そうではないトーンで言ってくれる。


でも…



“みんなにも”って言った時




何故俺だけを見たのだろう……







その真相を知る事は無く、他愛もない話をなんとなく交わしながら



彼女の家の前に着いた俺たちは


『また、学校で』



と、藤野と別れたのだった。





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