春
「おい、インターハイで優勝だって」
「こいつらなんだよ…」
「みんなでかくね?」
野次馬がうるさくなる
「勝つために来たんだ」
しかし迅野が言葉を発するたびに静まり返る野次馬
それだけものを迅野は持っていた
「どういう意味か分かるだろ?」
何の迷いもない瞳でオレを見る強い視線を正面から受ける
「ふんっ、オレはあんなもんやらねぇぞ?」
そう、絶対に、もう二度とやらない…
やれねんだよ…
「そっか」
あっけなく答える迅野にペースを乱される
「バスケは人にやらされるもんじゃないからな」
肩をポンっと叩いて通り過ぎる迅野
それに続いて迅野の後ろにいた男の子達も移動する
みな何かを訴えるような強い視線をハルに向けながら…
ハルは何もない一点をただ見つめるだけだった