年上。
春風と共に
別に彼女なんて欲しくない。

少なくとも今の俺はそう思っていた。

もちろん、この先彼女は作るつもりでいるし、男色という訳でも決してない。

ただ、独立も出来ていない一介の学生身分である高校生では、そんなものは必要では無いと、そう考えているだけだ。

周囲の男共と、どこのどいつが可愛いだの、という話に興じる事はあっても関心は一切ないに等しい。

可愛い、かわいい、カワイイ。

そんなものはごくありふれたものだ。

別にかわいいやつなら、二次元の中にだっているだろう。特に最近は。

当然ではあるが、俺は幻想と現実の区別はつく。触れる事も、会話する事も出来ないような、物質よりも出来る方が良いに決まっている。

なら何故、俺は周囲の女に目もくれないのか、と聞かれたら俺はこう答えるだろう。

美しくないから、と。

どのような女性が美しいかと聞かれたら、きっと俺は返答に困る。

だって、美人は人によって基準が違う。ミスコンとかいうので選ばれる人物が、美しいのかと、何人かに聞いてみよう。

そうすれば、返ってくる答えの中には必ず「否」があるだろう。

俺もその中の一人だ。

時折、俺が見ても美しい、という人物はいる事にはいるのだが、そいつの事に興味を持ったりはしない。

画面の中にいるのだから、それは所詮二次元と大差ない。

触れる事も、会話する事も可能かもしれないが、それ相応の努力が必要となって来る。

そんな面倒な事を、俺はしたくはない。

それに、ミスコンには時折やらせでは無いのか? と疑問に思うところもあるし。

まぁ、今の俺には関係のない事だ。

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