年上。
「それでは始めて下さい」その合図とともに、俺はゆっくりとテストを解き始める。

なんだやはり簡単では無いか。

どれもこれも、公式さえ覚えておけば簡単に解ける問題ばかりでは無いか。

しかも一次方程式のグラフを問う問題もあった。

中学生で習う内容だぞ、これ。

……正直、やる必要性があるのか?

早々に解き終えた俺は、窓の外を眺める。

桜の桃色がとても映えている。

いつの時代の歌人か知らないが、俺もあの下で死ねたらいいな。

美しい桜の下で、眠るように死にたいものだ。

それは、あり得ないだろうけどな。

どうせ碌でもない死に方をするさ。きっと。

そういう生き方をしていたんだからな。

神様がいるなんて信じていないが、やはり因果応報という言葉どおりに動くだろうな世界は。

うまい汁ばかり啜っている政治家たちも、いつかはその身にため込んだ訳が降り注ぐ事となるだろうな。

そう信じていなければ、やってられない。

現実問題、そういう奴らはうまい汁を啜ったままなのだろうな。

……いたぶりつくして、殺してみたい。

一瞬そんな衝動に駆られるが、抑え込む。

そんな事をしたって、俺には何の利益もないし、この国にとっても混乱を招くだけの結果になりえない。

だがやはり、欲というものは出るのだな。
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