年上。
少しは女の事ばかり考えていないで、勉学に勤しめ。

だから、おまえは成績が万年びりなんだよ。

しかも、やればできるタイプでは無い事は俺がよく知っている。

本でも読んでおとなしくしている事を覚えたらどうだ。

ったく。格闘ゲームだけはどこかの馬鹿並みに強いというのに。

俺はもう少し、ゆっくりと進めていく、ロールプレイングゲームが好みなんだが。

「そんな事に興味はない。出来る事なら、お前と代わって欲しいくらいだ」

「なら代われ! 今すぐ代われ!」

「それが出来るなら、やっている。この大馬鹿者」

「馬鹿というな!」

「馬鹿だからしょうがないだろう」

無駄な時間が過ぎるな。

早く俺に横溝正史を読ませてくれ。

そんな押し問答が続いていて、気が付かなかったが、男子からは確実に妬みの目線が送られている。

そこまでして、一緒にやりたかったのか?

解せんな。まったく。働いている女性と、自分が結ばれるなんて、考えもしない。

働けもしないのに、年上の女性を満足させられるものか。

……バイトは今日の夜からだったな。

そういえば忘れていたな。まぁいい。コンビニのバイトは、俺には容易だからな。

これでも一応は作り笑いくらいは出来ているし。

また大きな欠伸をひとつ。

「聞いてんのか!」

「五月蝿い黙れ!」

俺は問答無用の一撃を、そいつに叩き込む。座っていても、十分な威力は出せるはずだ。
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