年上。
やれやれ、少しは俺が静かにしていたいのが分からないのか。

鬱陶しい奴。

「何しやがる、誠司!」

うるさい。おまえが俺の読書の邪魔をしたのが悪い。

俺は完全に無視をする姿勢を見せて、読書にふける。

こんな馬鹿の相手をする奴なんているのか?

百人斬られの異名は伊達では無いと。

溜息にも似た息をもらす。

せっかくの横溝正史が面白くなくなってしまうでは無いか。

背筋がぞくりとするような見たて殺人が行われる、これの雰囲気が台無しだ。

やがて、担任教師が教室内に入ってくる。

……やれやれ、読書をする時間を奪われてしまったか。

後でこの埋め合わせはきっちりとして貰おう。

いや、いいか。面倒くさいだけだ。

面倒事は避けるに限る。こんな馬鹿を相手にしたところで、俺に特など一つもないのだから。

田代裕子教諭が教卓の前に立つと、昨日決めた委員長が働く。

「起立、気をつけ、礼」

欠伸をしながら、着席する。

昨日は少し遅くまで起きていたからか。

ライトノベルは読み始めると、止まらないから困る。

まるで漫画のように、あっという間に登場人物達が動いて行くので、とても見やすい。

それに、ミステリーなどには余り含まれない、ラブコメも中々楽しい。
< 9 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop