lotlotlot3-血脈の果て-
はじまりの地-カルサ-
「・・・。」
エーマリリスは言葉を失っていた。なぜなら、娘のアイワイに頼まれた白い玉を直した際に、意外な地名が聞こえたからだ。
カルサ。
それが、その地名だった。

<リーグ君が持っていた玉。それにこの地名が記録されているとは・・・。それも向かうらしい。と言う事は、リーグ君もあの一族の者だったのか?しかし、以前会った時には、そんな感じは全くしなかったが。>
今では本当の意味を知る者など、ほとんどいなくなってしまった。だから、ここに記録されている地名も、偶々何も知らない者が言っただけかもしれない。それでも気にしないフリは出来なかった。
<はじまりの地・・・。アイワイに話したものか・・・。>
悩んだ。どれくらい悩んだろうか。一時間やそこらではすまない。とても長い時間だ。その長い時間の終止符を、アイワイが告げさせた。
研究室の扉が開く。
「お父様、出来た?」
父親の様子を伺いに来たのだ。
「あぁ、出来ているよ。残っていた記憶。それは鮮明に見られるはずだ。消えてしまった記憶は、取り戻せなかったがね。」
「そう・・・。」
アイワイは伏し目がちな表情になった。
「そんな顔するではない。失ったとは言っても、ほんのわずかなはずじゃ。試作品と言う事もあって、記憶する時間に限界があるからな。仮に全て記録していたとすれば、消えた記憶は五分とか十分そんなものだろう。」
「それくらいなら・・・消えた記憶の部分は、前後の情報から補完出来るね?」
「まぁ、わしならそうするな。」
そう言ったあと、こう続けた。
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