lotlotlot3-血脈の果て-
王は王妃の元に訪れた。
「リズ・・・。」
「あなた・・・。」
王妃の隣には、健やかな寝顔の双子達がいた。それを見て、王の顔が曇った。
「そんな顔なさらないで。」
「すまない。」
「今は・・・今だけは・・・純粋にこの子達の誕生を祝福してあげて。」
「そうだな。はじめまして、おチビさんたち。」
王はそう言いながら、右手と左手のそれぞれの人差し指で、子供達の頬を軽くつついた。
すると、右にいた子はくすぐったそうにし、左にいた子は眠ったまま何も反応しなかった。実に対極的なふたりの態度を前に、王はこう言った。
「ずいぶんと、こっちのおチビさんは図太いな。この子は将来大物になるぞ。」
他意はなかった。しかし、王妃はそれをたしなめた。
「あなた、そんな事言わないで。」
「す、すまない・・・。他意はなかったのだが・・・ついな・・・。」
「いえ、わかってくれればいいんです。それより、いつまでこの子たちをおチビさんって呼ぶんですか?」
王妃に諭され、王はやっと気がついた。
「そうか、名前を付けなければな。」
おでこに手をやり、しばらく考えた。
「こう言うのはどうだ?右側の子がヨダセン、左側の大物君をおおて。これでどうだ、リズ?」
王の顔は得意満面だ。そんな子供のような顔をしている王の意見を、誰が拒否できようか。王妃は快諾した。
「とても良い名前ですね。そうしましょう。」
王妃は微笑んだ。それを見て、王がますます得意満面になったのは言うまでもない。
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