lotlotlot3-血脈の果て-
ノックをする手が震える。
兵士は後ろからその様子を見守っている。つまり、ノックをしようとしているのは、おおて自身だ。
なんとかノックを終えると、中から声が聞こえてきた。
「おおてか?」
「はい。」
「そうか、入れ。」
「わかりました。」
扉の取っ手が妙に冷たい。それがとても嫌な感じだ。
ゆっくりと扉を開ける。王の顔が見えた。確かに王の表情は怒っているように感じない。少しだけ気持ちが楽になった。
「どうした?入れ。」
扉を開けたまま立ちすくんでいたおおてを、王は部屋に入るよう促した。
「あ、はい。」
慌てて部屋に入る。王とおおて、ふたりきりだ。
唇が乾く。
「おおて・・・。」
「は、はい。」
そこから、少しの沈黙があった。何とも言えない空気が、おおてを包む。そのまとわりついた空気は、執拗におおての心を締め付ける。心は苦しく、押しつぶされ、消えてしまいそうだ。
「エフスを使ったのか?」
やっと、王が口を開いた。しかし、その言葉はおおてを楽にするどころか、さらに苦しめる事になった。それくらい重厚な言葉だった。
どう答えたらいい?おおては考えた。必死に考え抜いた。しかし、口から出てきたのは、たった一言だった。
「・・・はい。」
空気が変わった。
「そうか、そうか。」
王は信じられないくらいの笑顔だ。それが却っておおてを不安にさせる。
「どうかしたのですか?」
「何、喜んでいるのだ。こんなめでたい事はない。違うか?」
「めでたい?ヨダセンを・・・ヨダセンをあんな目に遭わせたのにですか?」
王は伏し目がちになりながら言った。
「あれは不幸な事故だ。こうなってしまった以上、しかたがない。それに・・・お前も知っているかもしれないが・・・王の在位につけるのは一人だけだ。いつかはこんな時がこなければならなかった。それが偶々、今日になっただけだ。」
「し、しかし・・・。」
「気にするなと言っている。ヨダセンも死んだわけではない。意識が戻らないだけだ。なら、ヤスタツが何とかしてくれよう。」
王の瞳の奥に、黒い思惑を見た。しかし、それについては恐ろしくて、とても聞けるものではなかった。
兵士は後ろからその様子を見守っている。つまり、ノックをしようとしているのは、おおて自身だ。
なんとかノックを終えると、中から声が聞こえてきた。
「おおてか?」
「はい。」
「そうか、入れ。」
「わかりました。」
扉の取っ手が妙に冷たい。それがとても嫌な感じだ。
ゆっくりと扉を開ける。王の顔が見えた。確かに王の表情は怒っているように感じない。少しだけ気持ちが楽になった。
「どうした?入れ。」
扉を開けたまま立ちすくんでいたおおてを、王は部屋に入るよう促した。
「あ、はい。」
慌てて部屋に入る。王とおおて、ふたりきりだ。
唇が乾く。
「おおて・・・。」
「は、はい。」
そこから、少しの沈黙があった。何とも言えない空気が、おおてを包む。そのまとわりついた空気は、執拗におおての心を締め付ける。心は苦しく、押しつぶされ、消えてしまいそうだ。
「エフスを使ったのか?」
やっと、王が口を開いた。しかし、その言葉はおおてを楽にするどころか、さらに苦しめる事になった。それくらい重厚な言葉だった。
どう答えたらいい?おおては考えた。必死に考え抜いた。しかし、口から出てきたのは、たった一言だった。
「・・・はい。」
空気が変わった。
「そうか、そうか。」
王は信じられないくらいの笑顔だ。それが却っておおてを不安にさせる。
「どうかしたのですか?」
「何、喜んでいるのだ。こんなめでたい事はない。違うか?」
「めでたい?ヨダセンを・・・ヨダセンをあんな目に遭わせたのにですか?」
王は伏し目がちになりながら言った。
「あれは不幸な事故だ。こうなってしまった以上、しかたがない。それに・・・お前も知っているかもしれないが・・・王の在位につけるのは一人だけだ。いつかはこんな時がこなければならなかった。それが偶々、今日になっただけだ。」
「し、しかし・・・。」
「気にするなと言っている。ヨダセンも死んだわけではない。意識が戻らないだけだ。なら、ヤスタツが何とかしてくれよう。」
王の瞳の奥に、黒い思惑を見た。しかし、それについては恐ろしくて、とても聞けるものではなかった。