lotlotlot3-血脈の果て-
「もう一度言うよ。イバーエ君をわしが抱えたら、すぐに糸を引いておくれ。いいね?」
「はい。お父様。」
それだけ言うと、エーマリリスは言術を唱えた。アイワイもそれに合わせる。
「bic。」
「bic。」
ふたりの手から糸が伸びる。そして、複雑に絡み合った。
「向こうにいれるのは長くても三分だ。それだけ過ぎたら、イバーエ君を抱えてなくても引いてくれ。でないと、わしは中間空間を永遠に迷子になるからね。」
「わかりました。」
唾を飲み込んだ。父親がここまで念を押すのは珍しい。それだけ危険な事などだと、アイワイは肝に命じた。そして、時計を取り出した。金色の小さな懐中時計だ。
「お父様、どうぞ。」
「きちんとテストしてないからな・・・うまく言ってくれよ。」
祈るように言った。それから言葉人形に触れた。するとどうだろう。言葉人形が見る見る大きくなっていった。同時にイバーエの周りにある景色が、部屋の中に流れ込んできた。
「アイワイ、もう少し下がって。」
言われた通り、十歩ほど下がる。すると、ハッキリと不可思議な景色を見る事が出来た。
毛足の長い絨毯から、太い幹の木々が生えている。かと言って、その木々が屋根を突き破るでもなく、白い天井と大きなシャンデリアに溶け込んでいる。さながら、シャンデリアのなる木と言ったところだろうか。
「これが中間空間?」
見るのははじめてだった。本で読んだ事はあったが、まさか目の前で見る事になろうとは思わなかった。それくらいに珍しい現象だ。
それをエーマリリスは、イバーエの持っていた言葉人形とアイワイの持っていた言葉人形の中に入っていた黄色い玉を介在させる事で、ふたつの空間を人工的に融合させた。この技術は感嘆に値する。
「なんとも体に負担のかかる空間だ。」
見た目は普通と変わらない。少なくともアイワイの目にはそう映っていた。しかし、実際にはエーマリリスの負担は想像を絶するものだった。恐ろしく体が重い。
それでも、なんとかイバーエの元に来た。そして、抱えようとした。が、上がらない。重すぎるのだ。まるで根が生えているかのように地面から動かない。
「はい。お父様。」
それだけ言うと、エーマリリスは言術を唱えた。アイワイもそれに合わせる。
「bic。」
「bic。」
ふたりの手から糸が伸びる。そして、複雑に絡み合った。
「向こうにいれるのは長くても三分だ。それだけ過ぎたら、イバーエ君を抱えてなくても引いてくれ。でないと、わしは中間空間を永遠に迷子になるからね。」
「わかりました。」
唾を飲み込んだ。父親がここまで念を押すのは珍しい。それだけ危険な事などだと、アイワイは肝に命じた。そして、時計を取り出した。金色の小さな懐中時計だ。
「お父様、どうぞ。」
「きちんとテストしてないからな・・・うまく言ってくれよ。」
祈るように言った。それから言葉人形に触れた。するとどうだろう。言葉人形が見る見る大きくなっていった。同時にイバーエの周りにある景色が、部屋の中に流れ込んできた。
「アイワイ、もう少し下がって。」
言われた通り、十歩ほど下がる。すると、ハッキリと不可思議な景色を見る事が出来た。
毛足の長い絨毯から、太い幹の木々が生えている。かと言って、その木々が屋根を突き破るでもなく、白い天井と大きなシャンデリアに溶け込んでいる。さながら、シャンデリアのなる木と言ったところだろうか。
「これが中間空間?」
見るのははじめてだった。本で読んだ事はあったが、まさか目の前で見る事になろうとは思わなかった。それくらいに珍しい現象だ。
それをエーマリリスは、イバーエの持っていた言葉人形とアイワイの持っていた言葉人形の中に入っていた黄色い玉を介在させる事で、ふたつの空間を人工的に融合させた。この技術は感嘆に値する。
「なんとも体に負担のかかる空間だ。」
見た目は普通と変わらない。少なくともアイワイの目にはそう映っていた。しかし、実際にはエーマリリスの負担は想像を絶するものだった。恐ろしく体が重い。
それでも、なんとかイバーエの元に来た。そして、抱えようとした。が、上がらない。重すぎるのだ。まるで根が生えているかのように地面から動かない。