lotlotlot3-血脈の果て-
怯える気持ち。忌み嫌う気持ち。おおてだけを気にかけている気持ち。気持ち、気持ち、気持ち・・・。どれもヨダセンには喜べる気持ちではない。さっきの言葉も口から出任せだとわかった。哀しくて・・・。
「いらない子なんだね。」
「何を言っているんだ?そんな事言ってないだろう?」
「口ではね・・・。今、気持ちが流れ込んできた。僕の事をどう思っているのか・・・。その気持ちはどれも嫌なものばかりだ。僕の事を嫌ってばかりだ。」
「そんな事はない。」
言い訳を聞けば聞くほど、哀しみは深くなってゆくばかりだ。
「・・・もういいよ。」
ヨダセンの哀しみはいつしか怒りに変わっていた。魔法使いに対する怒りや自分を毛嫌いした王への怒り。その周りにいながら、自分と仲良くしてくれながらも、何もしてくれなかったほほらん達への怒り。それらがどす黒い塊として、ヨダセンの中に生まれた。
あとは簡単だった。遠慮なんかいらない。躊躇われた力を振り下ろした。
「char、char、char。」

城は一瞬で地獄に変わった。
辺り一体は焼け野原だ。至る所に鼻をつく焼け焦げた臭いがしている。
ヨダセンの前には、ほほらんが倒れている。それを見ても心が痛まない。血だらけのほほらんを見て、むしろ笑みすら浮かべた。
「みんなが悪いんだ・・・。みんなが・・・。」
ヨダセンは何かを投げ捨てた。焼け野原に、それは転がった。それは腕だ。誰の腕かはわからない。ただ、その腕がはめていた指輪は、王家の紋章が刻まれていた。
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