lotlotlot3-血脈の果て-
「お父様、実際にこの世に現れた事がないのに、どうしてそんなに注意しなければいけないんですか?何も気にしなくていいのでは?」
「いや、気にした方がいいだろう。少なくともここ数百年、カルサの地に足を踏み入れた魔法使いは何人もいるが、その城にたどり着いた者はおらん。それが城に辿り着いているとしたら。少なくとも城があると言う事は、それを意識しておいた方がいい。」
アイワイはまた気がついた。
「お父様、また聞いていい?」
「なんだ?」
「私たち言術使いが城に、辿り着けないのはわかるわ。罠の類とかそんなところだと思うから。でも、同じ魔法使いが辿り着けないのはなぜ?」
「わからん。もしかしたら城が愛した者以外は、言術使い、魔法使いに関わらず妨げられるのかもしれないな・・・。」
「と言う事は・・・ますますリーグ君はその城にいる可能性が高いって事ね。」
「あぁ、着いていればな。そして、色の王がいる可能性も高いと言う事だ。」

少し躊躇った。言術も使えない状況で、色の王って奴と対峙する。きっと色の王はあのるるんぱって奴だろう。言術が使えた時ですら、僕は殺された。勝つ方法はまるで見えてこない。

「何考え込んでいるの?悩んでたって何も始まらないよ。行動しなきゃ。」
「そうだね。」
アイワイの言う通りだとイバーエは感じた。
「本当に行くのか?」
「はい。」
一番不安に思っているのは、エーマリリスだった。娘のアイワイを危険な地に送り出したいわけがない。
「じゃ、わしも行こう。」
当然の発言だ。しかし、アイワイは断った。
「いいえ、お父様はここにいて。」
「なぜだ?」
まるで泣き出しそうな表情を浮かべる。
「私、知っているんですよ。今、”空間接続詞”を造ってますよね?」
「知っていたのか?」
「はい、お父様の造るものは欠かさず気にしてます。」
うれしかった。自分の研究を、娘が熱心に知ろうとしてくれた事、それがうれしくてしかたなかった。
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