lotlotlot3-血脈の果て-
「これじゃ、使えないのも同じだよね・・・。」
「そんな事ないよ。一瞬でも使えると言う事はゼロじゃない。私はゼロだったけど、イバーエ君はゼロじゃない。ゼロじゃなければ無限の可能性が広がるかもしれない。」
「そうかな?」
ここまで言われると悪い気はしない。僕はかなり気を良くした。

花畑を僕達が歩くとかなり目立つ。かと言って隠れる場所もない。城に行くにはどうすればいいか算段した。
「何かいい方法ないかな?」
「やっぱり、花畑をそのまま行くのはマズいよね?」
「だね・・・。」
そこで会話は止まった。代わりにメルツが話し出した。
「わしが何とかしてやろうか?」
「じいちゃん?」
「あぁ、こいつお前を探して歩きづくめだったからな。きっと疲れていたんだろう。お前に逢えたら安心したせいか、心ごと眠ってしまった。で、わしが起きれたってわけだ。」
「じいちゃん、大丈夫なの?」
「あぁ、おかげさまで魂も安定している。これなら以前よりだいぶいい。と言っても、こいつが眠っている間だけだがな。」
「そうか・・・。」
それは悲しい言葉だ。
「そんな顔するんじゃない。それより話は聞いていた。まずは城に入りたいんじゃろ?」
「うん・・・。でも、言術も使えないし、どうしたらいいかわからなくて。」
「はぁ。」
ため息をつく犬を始めてみた。
「なんだよ。」
「bic系の言術はこの森で使えないのは当然だ。でも、lot系の言術は多少使えただろう?」
「ちょっと、待って下さい。なんで、bic系の言術はこの森で使えないんですか?」
アイワイさんが会話に入ってきた。
「なんだ、エーマリリスはそんな事も教えてないのか?」
じいちゃんは呆れている。
「でも、僕もじいちゃんから聞いてないよ。」
「そうだったか?」
じいちゃんはとぼけた。そして、使えない理由を話し始めた。
「理由は簡単だ。bic系の言術は大地から力を得ている。そのおかげで他の言術に比べると、体にかかる負担は少ない。ただ、この土地は知っての通り気まぐれだ。力を貸してくれなければ言術は使えない。」
「そうだったんですか?」
アイワイさんは驚いている。
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