lotlotlot3-血脈の果て-
ぬらぬらぬら。ぬらぬらぬら。
城はそんなイバーエを威嚇した。が、そんな事はお構いなしに、イバーエの拳は城に振り下ろされた。それはまさしく悪魔の鉄槌だった。わずか一発で空まで天井は抜けた。日差しが差し込んでくる。
「す、すごい。」
それしか言いようがなかった。
一発、二発、三発・・・。瓦解が降り注いだ。
「アイワイ、このままじゃ危険だ。リーグ君だけでも連れて戻ってくるんだ。」
選択の余地はない。アイワイはリーグの元に走った。
「リーグ君。」
声をかけたが返事はない。そんなリーグを抱え、アイワイは“空間接続詞”に戻ってきた。
「元に戻すぞ。いいな。」
エーマリリスは言う。イバーエの破壊は止まらない。そして、イバーエを止める術を誰も持っていない。
「は、はい・・・。」
イバーエの事は気がかりだが、こうするしかなかった。
<さようなら・・・イバーエ君・・・。>
アイワイが最後に見たイバーエは、泣いているようにも見えた。

破壊、破壊、破壊。その姿はかつてのヨダセンを思わせた。魔法使いに対する憎悪を、全て吐き出そうとしているようだった。
徐々にイバーエが何もしなくても、ありとあらゆる場所が崩れ始めた。
ぬらぬらぬら。
なおも城は声を上げる。しかし、こうなってしまっては声は恐怖を与えると言うより、虚しさを強くさせるだけだった。
ぬらぬらぬら。
「うるさい。」
そう言うと渾身の力を込め、大地を破壊した。土台を失った城に為す術はない。轟音と共に倒壊した。すさまじい土煙があがる。瓦礫の量も尋常ではない。

イバーエの姿は消えていた。瓦礫に埋もれたのか、それとも新たな標的を求めて飛び去ったのか、わからない。
ただ、姿がない。それだけが確実に言える事だった。
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