ちぇんじ☆
 情けない話だが、こんな気分の時でも人間はお腹が空くように出来ているようだ。
 思えば今日はこんな状況になる前から朝食以外のものをしっかり食べていない。
 私の体は思っていた以上に空腹を抱えてしまっていたようだった。

 出汁がしっかり効いたお味噌汁の味が私の食欲に一気に火を点ける。
 どの料理も不思議なほどに私の口に合う。

――これが……お袋の味っていうものなのかしら?

 というよりも、隼人くんの体だからこそお母さんの料理を美味しく感じるのだろう。

 そんなことを思いながらもどんどん料理を食べ進める私。
 気分は重いままながらも先ほどまでの体の緊張は満腹感によって少しずつほぐれてくる。

「あ、隼人のことだけどさ。消えてないから安心なさい」

………………へ?

 食べ続けている私にいきなりお母さんが切り出した。
 いきなりの一言だったので口に含んでた味噌汁を噴出しかけた。
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