ちぇんじ☆
 机の上に座って、
 まだ寝ぼけてる私をニコニコした顔で眺めている。
 自分の目が信じられなくて目をこする。
 ゴシゴシ、ゴシゴシと何度も何度も。
 でも……ちゃんといる。
 少し後ろが透けて見えるけど。確かに隼人くんがいる。

――あれ?でもどうして?

 鏡を見ているわけでもないのに隼人くんが見える。

 ともかく、いきなり戻ってきた隼人くんに大して言葉を出せない。

「あ、う? ……ええ?」

(よっ! ただいま!)

 混乱気味になって上手く言葉を出せない私に、右手を上げて軽い調子で隼人くんが挨拶をする。

 なぜ消えていたのか、どこに行っていたのか、何をしていたのか。
 聞きたいことは沢山ある。
 言ってやりたい文句もイッパイある。

――でも、その時に言いたいことは一つだけだった。

「――おかえり」

 何で隼人くんが見えるのか分からない。
 どうして声が聞こえるのかは分からない。

 でも、隼人くんが帰ってきた。
『おかえり』っていう言葉が言えたのがこんなに嬉しいのは初めてだった。
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