ちぇんじ☆
 隼人くんと共にリビングへ向かう。
 リビングではお母さんが少ししかめ面をして座っていた。
 私の方向に顔を向け、眼鏡を外すお母さん。
 目を細めてこちらをひとしきり凝視した後に一言。

「うん、ちゃんと隼人も一緒に来てるわね」

――ここから試練の時間が始まった。

 お母さんが私たちを呼び出した目的。
 それは私たちに何も言わずに行方をくらましていた隼人くんへのお説教だったわけで。

 お母さんには隼人くんはハッキリ見えていない。
 正確に言えば目を凝らせばうっすらとモヤのようなものが見える……らしい。
 私を一緒に呼び出したのは隼人くんがお母さんのお説教で逃げ出していないかの監視役。
 及び隼人くんの話してることをお母さんに伝える通訳としてのためだ。

「女の子を不安にさせて泣かせるなんてそれでも男のすることか!?」
「アンタがだらしないから真里ちゃんを困らせてるんでしょ!」
「帰ってきてるのに親に挨拶しないとはどういう了見?」

――お説教は一時間にも及んだ。
< 132 / 449 >

この作品をシェア

pagetop