ちぇんじ☆
 正直……かなりきつかった。

 お母さんは隼人くんに向かって言っているというのは分かっている。
 だが、その場で見えない隼人くんに話すのは難しいのだろう。
 視線は私に向かっているのだ。

 隼人くんへのお説教のはずなのに私が怒られているような気分になる。
 お説教が終盤に差し掛かる頃には私が涙目になってしまっていた。

――なのにお説教を受けてる当人は隣でのんびり欠伸なんかしてるし……。

 見えていない人は気楽なものだ。

「――それで」

 ひとしきりお説教が終わったところでお母さんが話題を少し切り替えた。

「真里ちゃんへの説得はまだ終わってないとして。『例の方法』を実行するのよね?」

 そのつもりだ。
 お母さんに呼ばれた時にもそのことについて真里をいかに説得するかを隼人くんと相談してたわけで。
 お母さんからの問いかけには小さく頷いて肯定の意を示す。

「そ、じゃあコレ持っておきなさい」

 テーブル越しにお母さんが差し出したもの。
 タバコの箱よりは少し大きいサイズのビニールに包まれた未開封の箱。

――コンドームだった。
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