ちぇんじ☆
(……了解)

 私の思いを汲んでくれたのか、それ以上は何も聞くことなく後ろを向いた隼人くん。
 その背中をチラっと見てから真里の方向に顔を向ける。

 真里の表情は変わらず呆けたまま、これから何が起きるのか分かっていない様子だ。

「真里……」

 私の話すことがちゃんと伝わるかどうかは分からない。
 だけど私は真里に話しかける。

「これから……キスするね? アナタのためなんだから、助けるためなんだから……許してよね」

 真里を説得しているのか、自分に言い聞かせているのか
 自分でも分からないような、そんな言葉を真里に向かって告げた。
 相変わらず真里は虚ろな表情のままだ。
 私の方向を見ているが瞳に私の姿を捉えていない。

――この状態のままでいいはずない……。

 私は覚悟を決めた。
 真里の顔を両手で掴み、そのまま引き寄せる。
 何の抵抗もなく近付く真里の顔。

 そのまま――私と真里は唇を重ねた。
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