ちぇんじ☆
「真里、大丈夫かな?」

 隼人くんの方向には視線を向けていないので表情は分からない。
 だが、小さく『うーん』と唸った後に隼人くんなりの返答が戻ってくる。

(大丈夫だと思うぜ。帰り際も意識はハッキリしてたしな)

 隼人くんがそう考える根拠は分からないけど、他人が断言してくれれば少しは気が軽くなるものだ。

「真里への説得、しそこなったね――」

 本来の今日の目的を果たせなくなってしまった。
 事情が事情だけに仕方ない部分もあるのだけど、
 隼人くんにとっては霊として生活しなければならない日が伸びてしまっているわけで。
 そこは本当に申し訳ないと思う。

(まあ、いいさ)

 本当は早く元に戻りたいだろうに――。
 ここで『いいさ』と言ってくれるのが隼人くんの優しさだ。
 そう思っていると、隼人くんが言葉を続けた。

(真里ちゃんとも仲良くなれたしな)

――私の心が、奥深いところで、また『ミシッ!』という音を立てた。
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