ちぇんじ☆
 ボタンを押して部屋の番号の階へ移動する私たち。
 そのエレベーターの中、

「ねえ、何でその男の子の中に私が入ってるのかな?」
「さあ?朝からさんざん考えても分からないんだけど……やっぱり知らない人だよね?」
「うん、見覚えが全くないなぁ」
「とりあえず……鏡がある場所だったら話せるらしいから。本人に聞くしかないか……」
「まあ、それが怪しいんだけどねぇ」

 とりあえず真里は私への疑いを少しは晴らしてくれたようだ。
 共感っていうのは何よりの証拠になったようだ。

 後は……隼人くんから何か有益な情報でも聞ければいいんだけど。
 例えば元に戻る方法とかさ。
 そんなことを考えてる間に部屋まで到着。
 ドアの前にランプが点滅していてそこが私たちの選んだ部屋と分かる仕組みになっているようだ。

「うわぁ~!!!」

 部屋の中に入って、またも同時に出た声。
 鏡の部屋を希望したけど……全面鏡張りじゃん!

「こんな風になってるんだねぇ」
「うん……すごいね」
「ほら……お風呂なんか丸見えだよ?」
「カップルじゃないと無理だよねぇ……」
「うんうん」

 まるっきりラブホ初心者な反応を示してる私たち。
 まあ実際初めてなんだから仕方ない。

(あのさあ、そろそろ話してもいいかな?)

 いきなり隼人くんが話しかけてきた。
 気が付けば視界の隅に隼人くんが立っている。
 そっかぁ、視界に移ってれば声が聞こえるんだねぇ。

「うわ!どうぞどうぞ!!」
「へ?何?どうしたの?」
「いや、その隼人くんが」
「ああ、話しかけてきた?」
「そうそう」

(俺の体で掛け合い漫才はやめてくれないか?)

 呆れたような表情で隼人くんが言う。

――いや、漫才やってるつもりは無いんだけどね。
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