ちぇんじ☆
 その晩、手を繋ぎながら眠ったからだろうか?
 私はカズちゃんの夢を見た。
 夢の中の舞台は――この夏休みの間二人でずっと一緒に遊んだ山の中。

 私はいつもフルカラーの夢を見る。
 情景は真夏の昼間のようだ。
 音は……いつも見る夢と同じ。
 私の夢には音声がついていない。
 まるで無声映画のように夢に音がついていない。

 それでも私とカズちゃんは夢の中で楽しく遊んでいた。
 カズちゃんが何か語り掛けてきている。
 何を言っているかは音が無いので分からないが、私は夢中で頷く。

 カズちゃんが語りかけて、私がそれに頷く。
 それが何度か繰り返された後――いきなり夢の情景が変わった。

 それまで真昼の山の中にいた私たちは――この山で再会した時の花畑の中にいた。

――あの時と同じ、真っ赤に染まった夕陽の中で。
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