ちぇんじ☆
 やはり性の知識がなかったカズちゃん。
 そのことに途方に暮れているとお祖父ちゃんが部屋に戻ってきた。
 引き戸を開けて、私たち二人を見るなり私に言った。

「おお! 決めたんじゃな? かすみちゃん!」

 お祖父ちゃんの言葉に無言のままこくりと頷く。
 そして、眼で『助けて!』の合図を送る。
 この高等サッカーばりの技術を、果たしてお祖父ちゃんが受け取ってくれるかどうか……?

 私の顔を見た後、カズちゃんの方向に向き直ったお祖父ちゃん。
 そのままカズちゃんに話しかける。

――おお!通じた!

「カズや、大事な話があるんじゃ――」

 うんうん、やはり年の功。
 こういうときは頼りになるのかもしれない。

「なに?」

 お祖父ちゃんに返事をするカズちゃん。
 私に対するときと同じく、小首を傾げる様子がなんとも愛らしい。

……と、その様子を横で同じく眺めていたお祖父ちゃんが急に私に耳打ちしてきた。

(むり! むーーーーりっ! 女子中学生相手に下ネタは無理!)

 スパーーーーーーンッ!!!!

 つい勢いでお祖父ちゃんの頭を思い切りはたいてしまった。
 ちょ!今さら何を言ってるのよ!

――その中身の女子中学生とさっき下ネタ全開トークをしてただろうがっ!!!!
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