ちぇんじ☆
 私の中で細い、細い糸のようなものが一本どこかに繋がるような感覚を覚えた。
 今まで釈然としていなかった出来事を、その理由を照らす光のような。
 難しいパズルの欠けていた一ピースが見つかったような。

 一瞬の間であったが、自分の記憶を必死に掘り返す。

 隼人くんの態度があからさまに変わったのはいつからだった?
 
――真里に見えるようになってから?
 
 違う!
 
――カズちゃんの家に真里を『元の状態に戻す方法』を聞きに行ったとき?

 違う!

……答えは分かっている。

 それは――『初めて私がカズちゃんの家に行ったとき』だ。
 あの辺りから、隼人くんがカズちゃんの家から戻ってきた頃から――隼人くんの私への対応が変わった。

 名前を呼ばれていた記憶はないけど、あの後から『バカマリ』に呼び名が変わった。

――なぜ?

 最初は隼人くんはそういう性格の人だ、なんて思っていた。
 でも、実際は凄く優しくて、思いやりがあって――。
『バカマリ』『アホマリ』と呼ばれる度に感じていた違和感があった。

 そして、真里に対する態度との違い。
 優しい、紳士的な態度の隼人くん。
 あの態度が本来の隼人くんの態度だったとしたら?

――私の中で線は繋がった。
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