ちぇんじ☆
「ねえ、何か思いついてない?」

直球で聞く。
回りくどく聞く必要も無い。
なんせ自分なんだから。
言ってしまうのも何だけど私は直球にすこぶる弱い。

「う? あ……ええ?」

顔を真っ赤にしてうろたえてる真里。
『何かを必死で隠してます!』と言わんばかりのそぶりを見せる。

「何を思いついたか分からないけど……話さなきゃ進展が無いじゃん?」

ここまでうろたえながらも口を割らない真里に対して、少し厳しい目の口調で問い詰める。

「だってさ……本当に言いにくいことを思いついたんだもん」
「うーん、何が言いにくいの?」
「あのさ、いくらアンタが私だっていっても……格好は男の子なんだよ?」
「だから?」
「うー……どうしても話さないとダメ?」

何を思いついたのか分からないけど、
よほど恥ずかしいことを思いついたんだろうか?
人間の心理として、隠されるとなおさら聞きたくなるものだ。

「ダメって言うか……何か思いついたんだったら少しでもヒントになるかもしれないじゃない?」

私の言葉に再び俯いて顔を真っ赤にしてしまった真里。
上目遣いでこちらの顔を見る。

「何を言っても……引かないでね?」

念を押してくる。
ここまで引っ張るって何なんだろう?と思いながら同意を示すために、とりあえずは頷く私。
鏡の中の隼人くんも同様に頷いている。
頷いた私を見て、決心したように顔を上げる真里。


――真里の言葉を聞いて、固まる私。

鏡の中でお腹を抱えて笑っている隼人くん。

――正直……聞くんじゃなかった。
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