ちぇんじ☆
「ちょっと、少しは考えさせてよ――」

 私の勢いに任せた説得は失敗かもしれない。
 真里の言葉にそんな考えが頭をよぎった。
 まあ、いきなり『処女を捨てろ』と言われても悩むよね。
 女の子にとっては一大事なワケだし。

 ましてや――相手が『自分』の心を持った好きな人。
 複雑になって考え込んでしまう気持ちも良くわかる。
 でも、ここで退くワケにはいかんのですよ!!

『押しに弱い』という自分の弱点を最大限についてみようと思う。

「だったら! 明日一日で考えて! お願い!」

 我ながら強引だ。
 でも、真里の中でも答えは出てるんじゃないかな。
 そう思う。
 だって、さっきから真里の言葉の中に『拒否の意思』は一つも出てきていない。
 後は誰かに背中を押してもらうだけ――そんな感じだ。

 私のそんな考えは概ね当たっていたのだろう。
 深刻な表情のままで真里が大きく一つため息をつく。
 そして、自分を勢いづけるかのように口を開いた。

「――分かった、でも……ちゃんと優しくしてよね」

 こうして『元に戻る方法』への手筈は整った。
 次は本命である『真里との約束』を取り付けるだけだ。
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