ちぇんじ☆
「ヨイショ!」

 なかなか立ち上がらない二人を尻目に、勢いをつけてベンチから立ち上がる。
 チラっと立ち上がった私を見るが、それでもなかなか動き出せない様子の二人。
 ヨーシ、それじゃあ私が二人が立ち上がれるキッカケを作ってあげようじゃないの。

「ねえねえ、真里――」

 そう言いながら真里に近付く。
「ん?」とコチラを見る真里に向かい、

「手、見せて?」

 そう言いながら真里に向かって自分の手を差し出す。
 ワケが分からないといった表情を見せながらも自分の手を私の手の上に載せる真里。
 その手を掴み、一気に引き上げる――。

 その勢いのまま、真里に接吻をする。

「――む!」

 私に口を塞がれたまま驚きの声を上げる真里。

(おい! 何してるんだよ!)

 目の前に展開するあまりの光景に思わず立ち上がり抗議の声を上げる隼人くん。

「ほーら、コレで立ち上がれた♪」

 真里から口を離し、底抜けに明るい声で二人に言い放った。
 立ち上がったまま口をアングリと開けてボーゼンとしている二人。

「さ、帰るよ」

 立ち尽くす二人を置き去りにするように公園の出口に向かって歩き出す。

――自分とキスするのは正直気持ち悪いけど。

 これでまた二人の記憶に私が焼き付くならば、それもヨシとしよう。
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