ちぇんじ☆
 はーい、こちらスタジオのマリです!
 これでカズちゃんに聞きたかったことは終わり。

――やっぱり私は消えちゃうのか……。

 まあ、覚悟してたことだし。
 改めて言われて少しショックで泣いちゃったけどさ。

 何はともあれ、『有能インタビュアー・マリ』ごっこに付き合ってくれてありがとうね、カズちゃん。

 私とカズちゃんが話しこんでいる間に夕日はマンションのベランダから見える大きなビルの向こうに落ちて行こうとしていた。
 夕凪で止まっていた風が、夜風に変わり再び吹き始めている――。

 冷えた空気が私の頬をそっと撫でる。

「――冷えてきたことだし、部屋の中に入るか?」

 ベランダから見える部屋の中では、お母さんの作った晩御飯がテーブルに並んでいる 様子が見える。
 そろそろカズちゃんと二人きりで話をできる時間も終わりに近付いてしまったようだ。

――この機会を逃すと――次は無いかもしれない。

 そう思った私は、ここでカズちゃんに『約束』を残しておこうと思う。
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