ちぇんじ☆
 ベランダの窓に向けて歩き出そうとしていたカズちゃんを引き止める。
 後ろを振り返り、再び私の方を見るカズちゃん。

「ん? まだ質問か?」
「ううん、違うの。今度はね――『お願い』があるの」

 私は――『私の欠片』を残すため。カズちゃんに『約束』を『お願い』する。

 カズちゃんが私の話を聞く態勢に入ってくれる。
 やっぱり――カズちゃんは心の底から『良い人』だ。

「あのね、私たちが『元に戻ったら』――隼人くんに『自分が父親だ』って教えてあげて欲しいの」
「――!!」

 私の言葉に驚いた表情を見せるカズちゃん。
 ほんの少しの間だけ、迷ったような素振りを見せ「ふう」と短く息を吐き出した後に続ける――。

「かすみさんに――そこまで聞いてたか」

 カズちゃんの言葉に小さく頷いて肯定の意思を示す。
 私のそんな様子を見て、カズちゃんが「やれやれ」と言った後、さらに話を続ける。
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