ちぇんじ☆
 お風呂場の前に立ち、一応声をかける。

「隼人くーん、いるー?」

 数秒の間があって、中から隼人くんの声が聞こえる。

(え? なんでココにいるのが分かったんだ?)
「カズちゃんが『糸』を辿って教えてくれたの」
(ああ、なるほど)
「何やってるの? 入るよー」
(ちょ! ちょっと待て!)

 隼人くんの制止を無視して中に入る。
 別に裸でいられても困ることもない。
 なんと言ってもここ数日、毎日のように見てきた裸なのだから。

 ここで余談となるが――隼人くんは魂だけの存在のくせに『着替え』をする。

 どういう理屈で服を着替えてるのかは分からないがオシャレに気を遣っているようだ。
 というか……最初の頃は私以外に姿が見えてないのに服を着替える隼人くんに何度ツッコミを入れたかったことか……。
 ということで、お風呂場の中にいるのでひょっとすると裸になってるかもしれないが、そんなことは気にしない。

 ドアを開けて中に入ったが、隼人くんはちゃんと服を着ていた。
 いや、お風呂場の中だから服を着ている方がマナー違反なのだけど……残念!

――まあ、そんな私の残念な気分は置いておいて、だ。
< 407 / 449 >

この作品をシェア

pagetop