ちぇんじ☆
 その後はもうドタバタだった。
 俺の中にいる『マリ』との初対面。
 行動をともにすることで今まで知らなかった『真里ちゃん』の色んな面を見たり。

 何より――『元に戻る方法』だ。
 俺の慕う霊能力の師匠『カズさん』。
 そのカズさんが『マリ』に告げた『元に戻る方法』。
 それが――俺の体を使って『マリ』と『真里ちゃん』がセックスすることだったのだ。

 その後も色んなことがあった。
 真里ちゃんに魂が抜けてしまった影響が出たおかげで、俺の体と真里ちゃんがキスするのを拝めたり。
 真里ちゃんが俺の姿を見れるようになってからは天にも昇るような気持ちだった。
 趣味の話で盛り上がったり、デートの真似事をしたり――。

 でも、そんな俺の言動が『マリ』に誤解を与えてしまっていた。

 『マリ』と話せるようになった時、俺は魂だけの存在のくせに極度に『緊張』していた。
 なにせ今まで好きだった人と――理由がどうであれ急接近したのだ。
 緊張とテレを隠すために態度が――かなり横柄なものになっていた。

 緊張がほぐれてからも、いかに中身が自分の好きな『真里ちゃん』であるといえ、外見は自分だ。
 マリに対する態度は最初の緊張による横柄さから慣れ親しんだ者に対する横柄さにそのまま移行していた。
 そんな矢先に『真里ちゃん』が俺の姿と声を認識できるようになった。

 『マリ』のおかげで『真里ちゃん』に慣れ親しんでいたこともあり、『真里ちゃん』には素直な自分で接することが出来ていた。
 自分で言うのも何だが――まるで恋人同士のように。

 そんな俺の言動によって『マリ』は『自分は消えても良い存在』と思うようになっていたようだ。
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