ちぇんじ☆
 今の自分の姿なんてどうでも良いと思った。
 こうやって隼人くんと話ができることが嬉しかった。

(おめでとう!)

 さっそく隼人くんを祝福する。
 そして、『約束』を守ってくれたお礼を言う。

(ちゃんと『約束』を守ってくれたんだね、ありがとう)

 私の言葉に照れくさそうに頭を掻く仕草を見せる。

(あれは――お前じゃなかったんだな)

 少し寂しそうな表情でそう呟く隼人くん。

(違うよ――)

 その言葉を否定する。
 私の否定の言葉に疑問の表情を浮かべる隼人くんに説明を加える。

(あれが――マリでもあって真里でもあるの、今の私はね、きっと……隼人くんの中に残ったほんの少しの部分なんだよ)

 私の言葉に複雑な表情を浮かべる隼人くん。

(じゃあ、お前は……お前はどうして俺との『約束』を覚えてるんだよ?  やっぱり……失敗だったのか?)

 今にも泣き出しそうな隼人くんを慰めるように諭す。

(失敗じゃないよ――みんなに、みんなに私の『記憶』を残したから――)

 納得の行かない表情をしたままの隼人くんに向かって話を続ける。

(私の『記憶』があるかぎり、私はみんなの中で生きていけるんだよ)

 私を抱えたまま、身動き一つできない隼人くん。
 そんな隼人くんを……元気が出るまで慰めてあげたかったんだけど。

――どうやらそろそろ限界のようだ。
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