ちぇんじ☆
 自分で考えた予想が的中していたのだろう。
 どうやら――私は本当に『マリの残りカス』のようだ。
 こうしている間にも……どんどん意識が薄れていくのが分かる。

 まるで電波が切れかけのテレビ映像のように、私の視界にノイズが混ざる。

(ねえ、隼人くん)

 完全に消えてしまう前に――私は一つお願いをしようと思う。

(――なんだ?)

 私の言葉の続きを待つ隼人くん。
 隼人くんに自分の『望み』を伝える。

(お願い――キスして)

(――――!?)

 口にしなくても隼人くんの疑問は分かる。
 確かに……キスしようにも現在の私は体がない――。

(ちゃんと隼人くんの姿は……見えてるから。キスする仕草だけでもいいの――お願い)

 私の言葉を受けて、隼人くんが私を抱き締めるような格好になった。
 瞳を閉じて――キスする態勢になる。

 私も、体は無いけれど……心の中で隼人くんとキスをする格好になっていた。

――ああ、せめて……最後に本当にキスしてみたかったな。

 そう思いながら……意識がまた段々と薄れていく。

――これで……本当に……最……後……か。
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