ちぇんじ☆
 悪いとは思いつつも体の持ち主の鞄を漁る。
 さんざん鞄の中を漁ってみて出てきたのは定期入れと財布。

 バスの定期は使用できそうだが電車は私の家とは逆に向かう方向の定期だった。
 もう一つ、新たに分かったことがある。
 この体の持ち主の名前と通っている学校名。

――『中道 隼人』くん……私の体……大事に使ってくれてる?ヘンなことしてないよね?

 この体の持ち主の名前が分かったところで改めて祈るような気持ちになる。

 バスに乗ること十五分。
 電車の駅に到着した。
 中道隼人くんには悪いとは思いつつ財布の中からお金を借りて自分の住んでいる駅までの切符を買う。
 家の近くまで行けば自分を見つけることもできるだろう。
 入れ替わっている中道隼人くんも私の家でじっとしているとは考えにくい。
 きっと混乱しつつも自分の体を探して外に出歩くんじゃないだろうか?

――ああ、なんでこんな奇妙なことをしなきゃならないんだろう?

 私はただの女子高生なんだよね。
 それなりに普通に暮らしてきてただけなのになぁ。
 昨日の晩に調子に乗ってBL小説を十冊一気読みして寝たのが原因?

 自分で考えたことながら、そんなバカなことが原因のワケは無い……と思う。
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