ちぇんじ☆
 なんてタカをくくっていた私がバカでした。
 問題ありまくりですよ!!
 『ちょっと歩くけど』のレベルというものを、一度じっくりと議論してみたい気分だ。

――あれから一時間は経過したんだろうか?

 お母さんが山を登る前にわざわざ確認をとった意味が、今ならば良く分かる。
 延々と、ひたすらに、人が歩く場所なの!?っていうくらい険しい山道を登り続けているんだから!
 隼人くんの身体だから良かったものの元の真里の身体だったら間違い無くダウンしてるよ!これ!

 とはいえお母さんはヒョイヒョイと先導して歩いてるんだけど。

……このお母さん、見かけによらずかなりタフだ。

「もうちょっとだからね」

 少しヘバりかけてる私の方に振り向いてお母さんが言う。

 ふう、もう少しか……。
 慣れない山道を歩いているせいか身体はかなり汗ばんでいる。
 足もすでに痛い。
 まだ、もう少しは歩けそうだけど、
 目的地に早く着いてくれるのに越したことは無い。

――でも、景色の良い場所だなぁ。

 緑がいっぱいで、空気が綺麗で。
 彼氏が出来たらこんな場所でハイキングとかしてみたいなぁ。
 お弁当作って、二人で手を繋いで歩いて。
 まあ、その前に私が体力をつけることが前提条件になるくらいの険しい山だけどね。

……その夢を実現させるためにも、早くこの状況を打破しなきゃな。

 もうちょっと、から歩くこと一時間。
 思ってもいなかったフェイント攻撃にヘトヘトです。
 まあ、やっとのことでたどり着いたのは一軒の山小屋だった。
< 70 / 449 >

この作品をシェア

pagetop