ちぇんじ☆
「ゴメン! とりあえず後十五分でそっちに着くからさ、会って! 大事な用事があるの! 駅前でね!」

 口を挟む隙間を与えないように一気にまくしたてる。
 自分だからこそ分かる。私はこういう勢いに弱い。
 実際、真理は何もしゃべれなくなっている。

「オッケー? オッケーね? じゃ駅前でね!」

 伝えることを伝えて電話を切る。
 返事は聞かなかったが、性格上絶対に来る。
 ああいう切り方をされると気になって仕方ないはず。

――自分だから間違いない。

「よかったの? あんな伝え方で?」

 心配そうにお母さんが聞いてくる。
 まあ私の性格を知らない人からみれば上手くいかなさそうな誘い出し方に見えるんだろうな。

「大丈夫です! ぜーーーったいに来ます!」

 私の自信ありげな返答にお母さんは「そう?」と短く返すだけで
 無言に戻って車の運転に再度集中し始めた。

 さあ、私は後十五分で真理の怒りを解く方法を考えなければ……。
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