ちぇんじ☆
『どうしよう?』

 その思いだけで頭の中が一杯のまま隼人くんの家にたどり着く。
 お母さんに何と言ってこの事実を告げようか?
 隼人くんの魂を元に戻す方法をお母さんは知ってはいないか?
 色々なことを考えながらも、頭の中で何もまとまらないままに玄関の前に来る。

――あ……もう着いちゃった。

 今ひとつ決心が固まりきらない私。
 深呼吸を大きく三回、煮え切らない自分を叱咤するようにドアノブに手をかける。
 気持ちの葛藤のせいか、かなり重たく感じる。
 玄関を開く。廊下の先、リビングルームに明かりが灯っているのが分かる。

「ただいまぁ……」

 玄関から靴を脱ぎながらリビングルームにいるであろうお母さんに呼びかける。

――リビングからは応答の声が無い。

 あれ?いないのかな?
 良かった、これでお母さんに重要なことを伝えるまでの時間を少し稼げた、そう思い ながら隼人くんの部屋に向かうべく廊下を進む。

 リビングに差し掛かった時、私は背後からふいに呼び止められた。
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