ちぇんじ☆
「ああ、お帰り。いつ帰ってたの?」

 振り返ると、シャワーを浴びていたらしい濡れた髪に淡いグレーのTシャツ、
 下はショーツ一枚だけの姿でお母さんが立っていた。

「あ……今さっき……」

 そう答えながらお母さんの顔を見る。
 言わなきゃ、伝えなきゃ……そう思い、口を開こうとする。
 しかし、何からどう伝えれば良いのか。
 いざとなると私の中の混乱は度を増すばかりだった。

――言わなきゃ、言わなきゃ……

 思えば思うほど私の混乱は募っていく。
 何も言わないままの私をお母さんは不思議そうな目で見つめる。
 私の中でだけ増幅されていく緊張。

……ついには、緊張に耐え切れず私はその場で泣き崩れてしまった。
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