ブラウン管の中の彼女~番外編~



「全く学習しない男ねー」


だーっ!!もううっせーよ!!


「俺だってなあ…俺だってっ!!」


うぅっと祐に泣きついてみた。


「実早、いじめ過ぎ」


「だってー!!太一があまりにもバカすぎるんだもん」


離れてよっと言いながら実早は俺と祐を引き離した。


「いーちゃんがかわいそー。こんなヘタレが彼氏で。仲紗もそう思うでしょー?」


実早は椅子に座って本を読んでいた塚原さんに話を振る。


塚原さんは持っていた本を閉じると俺に向かって小さく呟いた。


「…ん…依夜は…可哀想…」


ほらねーっと実早はケラケラと声を上げて笑った。


つ…塚原さんにまでそう思われているなんて…。


俺はがっくりと肩を落とし、コンクリートの床に手をついた。


「…太一に…何も…伝わってない…」


塚原さんはそう言うと本を開き、再び文章を目で追い始めた。


「…何が?」


尋ねても塚原さんの口は開くことはなかった。


「太一、灘さんには自分から謝ったら?」


「…考えとく」


祐は満足そうに微笑むとぎゃーぎゃー騒ぐ実早と教室から消えていった。


< 10 / 31 >

この作品をシェア

pagetop