ブラウン管の中の彼女~番外編~
「全く学習しない男ねー」
だーっ!!もううっせーよ!!
「俺だってなあ…俺だってっ!!」
うぅっと祐に泣きついてみた。
「実早、いじめ過ぎ」
「だってー!!太一があまりにもバカすぎるんだもん」
離れてよっと言いながら実早は俺と祐を引き離した。
「いーちゃんがかわいそー。こんなヘタレが彼氏で。仲紗もそう思うでしょー?」
実早は椅子に座って本を読んでいた塚原さんに話を振る。
塚原さんは持っていた本を閉じると俺に向かって小さく呟いた。
「…ん…依夜は…可哀想…」
ほらねーっと実早はケラケラと声を上げて笑った。
つ…塚原さんにまでそう思われているなんて…。
俺はがっくりと肩を落とし、コンクリートの床に手をついた。
「…太一に…何も…伝わってない…」
塚原さんはそう言うと本を開き、再び文章を目で追い始めた。
「…何が?」
尋ねても塚原さんの口は開くことはなかった。
「太一、灘さんには自分から謝ったら?」
「…考えとく」
祐は満足そうに微笑むとぎゃーぎゃー騒ぐ実早と教室から消えていった。