ブラウン管の中の彼女~番外編~
「太一、大丈夫?」
依夜が心配そうに俺の顔を覗きこむ。
「めっちゃ痛い…」
「バカ…」
依夜は両肩に手をおいてうな垂れた。
「殴りかかって返り討ちに遭うなんてホントにバカ…」
確かに俺はバカだけどここまで言わなくてもいいじゃんか。
「元はといえば依夜が「北野くんには片想いの相手がいるの!!」
は…?
「全部、太一の思い込みなんだってば!!」
つまりライバルがひとり減ったってことですか?
「太一は人の話聞かないし。この間だってあたしは北野くんの話を聞いてただけなんだって!!」
ぴっと目の前に指が立てられる。
「これからはあたしの言うこともちゃんと聞いてね!?」
「すいません…」
完全なる俺の見込み違いだったってことですか…。
俺ってマジでバカじゃん…。
「バカ…」
最後にそう言うと依夜はぎゅうっと俺に抱きついていた。
「依夜ちゃん?」
依夜ちゃんがこんなことしてくれるなんて初めてじゃないっすか?
不思議に思いながら腰を抱く。
ヤバイ。
ニヤニヤ笑いが止まらない。