ブラウン管の中の彼女~番外編~
「っで、あんたは自分からどつぼにハマったわけ―?」
俺は机に突っ伏していた顔を上げ、実早を睨んだ。
「うっせーな!!ほっとけ!!」
「やんっ怖―い!!祐ちゃん助けて―!!」
実早は体をしならせて祐の首に抱きつく。
お前、単にそれがしたくて俺を怒らせたんだろ!?
「福永さん、太一をからかっちゃダメだよ?」
実早はハーイと声を弾ませ、祐から離れる。
祐は祐で実早の扱いには慣れたもんだ。
「まだ、灘さんと喧嘩してるのか?」
「…そ―だよ」
俺は再び机に突っ伏した。
依夜のバーカ…。
何日経っても依夜からの謝罪の言葉は聞けない。
正直、へこむ。
自分からは謝らないなんて決めたくせに簡単に撤回したくなる。
そうすれば依夜に堂々と会えるし、触れられる。
依夜は平気なんかな…。
俺は依夜に手が届く距離にいたいのに。