レモンパイ

『さぁッ行こ!!』

梨菜に声をかける。


「全く。なんで隼人くんがいなかったらこんなに素直なのに…『しょッしょーがないの!!!』


梨菜の言葉を遮る。



「素直に言っちゃえば早いのにぃ…」

笑いながら梨奈は優しく言った



『言えるわけないじゃんッ』


慌てて、梨菜に言い返す。


無理だよ!!


「…なんで??」

『……隼人は…私のコト、単なる【お菓子をくれる人】としか思ってないよ。』


「……根拠は??」


『ない…けど……話かける理由だったら、それしかないし。』

……いつも思う。

隼人が…レモンパイが好きなら――…
そのために話しかけてくるんだとしたら…

レモンパイを作れない私だったら…目にも留めてもらえないのかなって。



ボソ…

「あんの…バカ男…」

梨奈は何か言ったみたいだったけど…よく聞こえなかった


『……梨菜??』



「なんでもないッ!!
…でもさ…やっぱり…



一歩踏み出そ??」



『……梨菜…』


「私も…芽依と一緒。

一緒だから…ね??」


梨菜はそう言って…優しく微笑んだ。


『――…うん



ありがとう…梨菜。』

「よし!!行こっか♪」


『うん!!』


私達二人は…調理室へ向かった。


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