指先から恋をする。
プロローグ
「輝せ―んぱいっ!!」
そう言いながら、今、前方を歩いている人に飛びついた。広めの背中に、抱き着く。
その人は、またかと溜め息を吐いた。
もう慣れっこなので、気にしない。というよりは、抱き着けたことに満足して気付いていなかった。
「…宮城、お前いい加減に…」
「え―、千架って呼んで下さいよう!!」
「…………はぁ、」
首だけを斜め後ろに向けて、彼女―――宮城千架を見る。千架は輝と呼んだ彼を見て、そう答えた。
だが、あまりにもバカらしい発言のおかげで、溜め息が出る。
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