バトンクッキー


「はい」


「どうして……」


「アイロンは真ん中から外側に皺を伸ばすようにしてから……」


「どうやってアイロンをかけたのか聞いたんじゃなくて、なぜアイロンをかけるんだ?ていうかおまえがかけたのか?」


「自分でかけましたよ。アイロンは熱で汚い菌を死滅させれるし、ユニフォームにシワができると気になってしまうんです」

 水原は照れ笑いを浮かべながら柳沢に答える。


「ちゃんと動けるのか?」

 おれはユニフォームを触りながら問いかける。腕のところなど四角く折り目がつき、使ったノリの量も半端じゃないはず。


「問題ないです」

 水原がぐるぐる腕を回して柔軟性をアピールする。

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