バトンクッキー


 切り口からピリッと袋を破り、片面をチョコレートでコーティングしたバトンクッキーを水原はおいしそうに食べはじめた。


「食べます?」

 おれがモノほしそうな顔をしているように見えたのか、水原がバトンクッキーを差し出す。


「ああ、すまない」

 バトンクッキーは見た目ほど硬くなくて、サクサクッとした食感。


 チョコレートじゃない方の片面はカカオパウダーの生地になっていて、甘さと苦さが口の中でちょうど良い具合に溶けていく。


「おいしいな」とおれが感想を言うと、水原はニコッと笑った。

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