バトンクッキー


 水原は表情ひとつ変えず、淡々と投げていく。


「フォアボール」


 これでワンアウト、1・2塁。


 6番ショート湯上谷は膝を折って伸ばす屈伸運動を繰り返しながら、意気揚々とバッターボックスに入る。


 ホームランを打って自信満々だ。


 送りバントもセーフティーバントもないな。


 三浦はベンチから右足を一歩踏み出して内野手に声をかけた。


「坂本さん、もっとライン寄りに守ってください。キャプテンは三遊間の真ん中、太田さんは2塁ベースまで近づいてください!」

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